はじめに
超高齢社会を迎えた日本において、終末期のケアである「看取りケア」の重要性がますます高まっています。看取りケアとは、患者や高齢者が人生の最終段階を安心して過ごせるよう、身体的・精神的なサポートを提供することを指します。これを適切に行うためには、専門的な知識と技術が求められ、それに対応した資格制度も多く設けられています。
本記事では、看取りケアに関連する代表的な資格を紹介するとともに、学習を進めるための手がかりについて詳しく解説します。
看取りケアに関連する資格の代表例
看取りケアに関する資格は、医療・介護の現場で役立つものが多く、専門性の高さや活躍の場に応じてさまざまな種類があります。
看取り士
概要
看取り士は、一般社団法人日本看取り士会が認定する資格で、看取りの専門家として終末期の方やその家族をサポートする役割を担います。医療行為は行わず、精神的・身体的な苦痛の緩和を重視したケアを提供します。
取得方法
- 日本看取り士会の養成講座を受講
- 実技研修の修了
- 認定試験に合格することが必要
活躍の場
- 在宅介護
- 介護施設
- ホスピスや緩和ケア病棟
- 個人として独立して活動するケースもあり
緩和ケア認定看護師
概要
認定看護師制度の中でも「緩和ケア認定看護師」は、終末期の患者の苦痛を和らげ、適切なケアを提供するための専門的な知識を持つ看護師です。
取得方法
- 看護師資格を取得後、実務経験を積む
- 指定の教育機関で約6ヶ月間の研修を受講
- 認定試験に合格する
活躍の場
- 緩和ケア病棟
- 一般病院のがん患者対応部門
- 在宅医療の現場
介護福祉士
概要
介護福祉士は、介護全般の知識と技術を持ち、看取りケアの現場でも活躍できる国家資格です。看取りケアを専門とする資格ではありませんが、介護の実践力を活かして看取りケアにも携わることが可能です。国家資格取得の前提として、必ず看取りケア(ターミナルケア)について学びます。
取得方法
- 養成学校を卒業する
- 実務経験を積み、実務者研修を経て国家試験に合格する
活躍の場
- 介護施設(特別養護老人ホーム、グループホームなど)
- 訪問介護
- 医療機関との連携による看取りケア
ターミナルケア指導者
概要
ターミナルケア指導者は、終末期共創科学振興資格認定協議会が認定する資格です。知識共創という考え方を基にして、終末期ケアに関する専門的な知識と指導力を備え、医療・介護現場でのケアの質を向上させる役割を担う専門家を認定する資格です。特に、看取りケアを行う現場での実践的な指導や、スタッフへの教育の実施と教育環境の整備に力を入れています。
取得方法
- 指定された研修プログラムを受講し、所定のカリキュラムを修了することで資格を取得できる
- 実務経験を積み、指導者としてのスキルを磨く
活躍の場
- 医療機関(緩和ケア病棟、ホスピスなど)
- 介護施設
- 訪問看護・訪問介護の現場
- 研修講師や教育機関での指導者としての活動
終末期ケア専門士
概要
終末期ケア専門士は、一般社団法人日本終末期ケア協会が認定する資格で、終末期のケアに関する総合的な知識を持ち、介護・医療の現場で活躍できる人材を育成するものです。
取得方法
- 介護施設
- 訪問介護・訪問看護
- 医療機関の緩和ケアチーム
看取りケアの学習を進めるための手がかり
看取りケアのスキルを向上させるためには、日頃の学びが欠かせません。ここでは、学習を進める際に役立つ情報を紹介します。
専門書籍を活用する
看取りケアに関する専門書籍は多く出版されており、基礎知識から実践的なスキルまで幅広く学ぶことができます。
研修・セミナーに参加する
各種団体や医療機関が実施する研修やセミナーに参加することで、最新の看取りケアの知識を得ることができます。
体験から学ぶ
何より、体験は生きた教材になります。あなたが看取りケアに携わる中で身につけたスキルや感じたことは、先に旅立った人たちからのギフトかもしれません。